Fargateをスポットで7割引で使うFargate Spotとは? #reinvent
「え???FargateにSpot?何言ってるかわからない」
Fargate Spot、いきなりでましたね。AWSで言うところの「Spot」は通常Spotインスタンス(=EC2)のことを表現するので、ホストインスタンスを持たないFargateにSpotと聞いて私も意味がわかりませんでした。弊社ブログでも既に速報が挙がっています。
- 【最大70%引きで使用可能、東京でも利用可能】AWS Fargate Spotがリリースされました。#reInvent | Developers.IO
- [新機能] AWS FargateにSpotキャパシティプロバイダが追加されたので試してみた | Developers.IO
この記事では、Fargate Spotを使う上で必ず理解しておくべき上位概念のCapacity providerの解説と、利用上の各種注意事項をまとめます。はっきり言ってかなり複雑なので覚悟してください。ホンマに。
目次
・ECS Cluter Capacity Providersとは?
・Fargat Spotの解説とその使い方
・Fargate Spotで起動しているタスクが終了したとき何が起こるのか?
・通常のFargateに比べてどの程度安いのか?
・既存クラスターの「Update Cluster」でProviderが設定できないときの対処法
・Update clusterに出てくる各ProviderのBaseとWeightの意味は?
・一つのクラスターに複数Capacity provider(Fargate or Fargate Spot)のサービスを配置できるか?
俺に…理解…できるんだろうか…!! ( ゚д゚) ガタッ / ヾ __L| / ̄ ̄ ̄/_ \/ /
ECS Cluter Capacity Providersとは?
物凄く簡単に言うと、「ECSのタスク数増減戦略をより詳細に設定するためのECSの新機能」です。まずは、これをはっきり覚えておいてください。
公式ドキュメントはこちら。
この中には、以下2点の要素「Capacity provider」と「Capacity provider strategy」が含まれます。
Capacity provider
タスク実行時のインフラを指定する時に利用されます。ECS on Fargateの場合は、「FARGATE」「FARGATE_SPOT」の2種類から選択します。今回FargateのSpotインスタンス的なものと言ってるのがこれです。
ECS on EC2の場合は、オートスケーリンググループのことを表し、タスクのスケーリングと終了方法を管理します。こちらは、別途Amazon ECS Cluster Auto Scalingと提供されています。
こちらも既に、速報が弊社ブログに挙がっているので参考にしてみてください。
Capacity provider strategy
これを利用することで、タスクに対して複数のCapacity providerを設定できます。これはタスク設定時かサービス実行時に指定可能です。Capacity provider strategyは、複数のCapacity providerから構成され、それぞれにBase
とWeight
を設定できます。
Base
では最小実行タスク数を指定し、これが設定できるCapacity providerは1つだけです。
Weight
は、そのCapacity providerで利用する起動タスク数の総体的な割合を指定します。
具体例で考えてみる
正直、上の説明だと全然わからない(自分もわからんかった)ので、Fargateの場合で具体例をあげて考えてみます。
例1
capacity provider | Base | Weight |
---|---|---|
FARGATE | 1 | 1 |
FARGATE_SPOT | - | 1 |
この場合、まず、常にFargateとして1つのタスクが存在し、FargateとFARGATE_SPOTの割合が1:1なので、2つめのタスクはFARGATE_SPOTとして起動します。その後タスクが追加されるたびに、FARGATEとFARGATE_SPOTが同数追加されます。
例2
capacity provider | Base | Weight |
---|---|---|
FARGATE | 2 | 1 |
FARGATE_SPOT | - | 4 |
この場合、まず、常にFARGATEとしてタスクが最低2個起動します。それ以上タスクが追加されると、FARGATEとFARGATE_SPOTがそれぞれ1:4の割合で追加されていきます。
この場合、合計タスク数の経過でそれぞれのCapacity providerごとのタスク数はこうなります。
合計タスク数 | 2 | 10 | 20 |
---|---|---|---|
FARGATE | 2 | 2 | 4 |
FARGATE_SPOT | 0 | 8 | 16 |
タスク数の詳細なロジックについては、下記記事で検証しているので、合わせてご確認ください。
使い方はどうなるのか?
いろいろ例示してきましたが、使い方の一例としてはこのようになるかと思います。
- 常に確保しておきたいタスクはベースを指定してCapacity providerをFARGATEとして指定
- オートスケーリングに応じて負荷が変更されスポットで割安で使いたいタスクをFARGATE_SPOTとして指定
- それぞれの割合を
Weight
で指定
注意事項
一点、注意事項ですが、Capacity provider strategyのBase
がサポートされるのは、ECSのタスク実行を実施した場合のみです。ECSサービスを利用した場合は、Base
値は無視され、Weight
のみが利用されます。
Fargat Spotの解説とその使い方
公式ドキュメントはこちら。
基本的な注意事項を下記にまとめます。
- FargateとFargate Spotは、別途作成は不要。全てのアカウントのクラスターでいつでも利用可能
- Fargateプラットフォームとして1.3.0以上が必要
- タスク停止時には、Task State Change Eventsが発動
Fargate Spotで起動しているタスクが終了したとき何が起こるのか?
概念としてはSpotインスタンスに近いものなので、AWS側の都合によっていつタスクが終了するのかわからないのが、Fargate Spotで起動するタスク。これが終了になるとき、まず2分前に警告がタスク停止前に投げられます。これは、上で記したTask State Change Eventsとして発動し、同時にSIGTERMシグナルがタスクに対して送られます。
通常のFargateに比べてどの程度安いのか?
Fargateの価格は、以下のページにまとまっています。
AWS Fargate Pricing - Run containers without having to manage servers or clusters
東京リージョンにおける、オンデマンドタスクとSpotタスクの料金を比較してみます。
種別 | オンデマンド | Spot | オンデマンドに対するSpotの料金比率 |
---|---|---|---|
per vCPU per hour | $0.050560 | $0.015168 | 30% |
per GB per hour | $0.005530 | $0.001659 | 30% |
図ったように30%ピッタリです。つまりオンデマンドに対してSpotは一律7割引で使えます。これは素晴らしい。
既存クラスターの「Update Cluster」でProviderが設定できないときの対処法
Fargate Stopを利用するとき、クラスターのアップデートをしてプロバイダーのクラスターへの登録が必要となります。しかし、最初既存のクラスターから「Update Cluster」するとき、「Default capacity provider strategy」の「Add provider」を押してもドロップダウンに内容が表示されませんでした。
解決策は、先に何でも良いので新規でECSクラスターを作ってことです。そうすることで、無事既存のクラスターでも「Add provider」の一覧に、プロバイダーが表示されます。
Update clusterに出てくる各ProviderのBaseとWeightの意味は?
下の部分です。
これは上で書いた、「Capacity provider strategy」を参照してください。
一つのクラスターに複数Capacity provider(Fargate or Fargate Spot)のサービスを配置できるか?
できます。最初にクラスターをアップデートし、2つのプロバイダーを登録しておくことで、サービス設定時のプロバイダーの登録が可能になります。
まとめ「いきなりいろんな概念が登場して理解が難しい」
ドキュメントを読み込んでいて、一言そんな感想です。いやぁムズいですよ、今回のこのリリース。いろんな説明をしましたが、ECSサービスをFargateで利用していて今回のFarate Spotを利用する場合、大体以下の手順で設定してください。。まずは手を動かしたほうが理解が深まると思います。
- 一つ新規でクラスターを作成し、Capacity providerを選択可能な状態にする
- 既存クラスターを更新し、2つのプロバイダー(FARGATE、FARGATE_SPOT)を追加し、それぞれのタスク数の比率を
Weight
で指定 - クラスター内の各サービスに、どのプロバイダーを利用するか指定
これにより、手順としてはシンプルにFargate Spotを活用できます。今回は、マニュアルを読みながら利用上の注意点をまとめてみました。次のブログでは、各プロバイダーの重み付けによるタスク数の割合の確認、および、Fargate Spotのタスクが落ちるときの挙動を試してみたいと思います。
それでは、今日はこのへんで。濱田(@hamako9999)でした。